公立なら、翌日にでも都道府県や市町といった教育委員会へ相談。対応を委ねることもできよう。だが私立では、それは現実的には難しい。

「なので学校側、校長や教頭、学年主任といった管理職の先生方が納得するよう、証拠や証言を携えて、手紙を書き、渡しました――」

 この手紙を認める際、その根拠としたのが、レン君が通う学校が発行する『いじめ早期発見・早期対応マニュアル』だ。このマニュアルによると文部科学省が定義する「いじめ」や「からかい」について、その詳細が記されている。また学校には「いじめ防止委員会」なる組織も存在している。

「中には有名無実な組織もありました。でも、学校側が出しているマニュアルです。これを軸として、『学校で決めた基準に基づいてお話すればこれはいじめです』という論法で、うちの子が受けた行為はいじめであると学校側に認めさせました」

保護者の危機感に火を付けた
「いじめ現場」のスクリーンショット

 こう語るレン君ママだが、ただ学校発行のマニュアルに基づいて学校側に話をしたところで学校側は動かない。そこで学校側を動かすための切り札として活用したのが「証拠」である。

「偶然、運が味方してくれたのですが、ハラたちがうちの子をいじめようと画策したLINEでのやり取り。それをママ友のひとりが見ており、スクリーンショットで保存、私のところに送ってくれたのです。これは大きかったです」

 息子がいじめに遭ったと聞いたその日、レン君ママは、付き合いのあるママ友たちに事の次第をLINEで送り、たまたまハラのいじめっ子グループに属しているメンバーのママが、「もしかして、うちの子、いじめに関わっている?」と気になってレン君ママに連絡を寄越してきたのだそう。

「そのママ友とは日頃、さほど親しいわけではないのですが……。最近、私立の中高の中にはいじめ加害と学校側から認定されたら退学というところも時折耳にします。うちの子が通っている学校はそこまで明確な処分を打ち出してはいません。でも保護者としては、やはりそれなりに重たい事実です。被害と加害問わず、いじめに関わっていれば即対応する必要があることには変わりません」