2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキヤノン、ニコンなどの「カメラ/光学/複合機」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 濵口翔太郎)
キヤノン・富士フイルムHDが「過去最高」更新も
ニコンは10%の営業減益
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のカメラ/光学/複合機業界4社。対象期間は2024年2~6月の四半期としている(4社とも24年4~6月期)。
各社の増収率は以下の通りだった。
・キヤノン
増収率:14.4%(四半期の売上高1兆1678億円)
・ニコン
増収率:3.6%(四半期の売上収益1639億円)
・HOYA
増収率:17.3%(四半期の売上収益2138億円)
・富士フイルムホールディングス
増収率:13.4%(四半期の売上高7490億円)
カメラ/光学/複合機業界の4社は、いずれも前年同期比で増収となった。ただし、キヤノン、HOYA、富士フイルムホールディングス(HD)は2桁増収だったのに対し、ニコンは3%台の増収と、その伸び率には差が見られた。
なお、今回分析対象とした4社のうち、キヤノンは12月期決算、他の4社は3月期決算となっている。
このうちキヤノンは、24年4~6月期(24年12月期第2四半期)の売上高が第2四半期実績として過去最高を更新。富士フイルムHDも、24年4~6月期(25年3月期第1四半期)の売上高・営業利益・純利益が第1四半期実績として過去最高を記録した。
HOYAも利益面が好調で、24年4~6月期(25年3月期第1四半期)における税引前利益が前年同期比25.5%増の642億円、純利益が同23.4%増の472億円に拡大した。
これに対し、ニコンは24年4~6月期(25年3月期第1四半期)の営業利益が前年同期比10.3%減の30億円にとどまるなど、やや元気がない印象だ。
ニコンはなぜ苦戦しているのか――。「過去最高」を達成したキヤノン・富士フイルムHDの好調要因と合わせて、次ページ以降で詳しく解説する。