「細胞を取って検査しなければ確定診断できないのに、しない先生も一定数います。でも転移の有無でがんの進行度は変わり、治療の内容も大きく変わります。私は原則、リンパ節生検(リンパの細胞検査)をしています」

 ファーストオピニオン通り黒であれば郭清が必要だが、白の場合は「リンパ郭清(切除)」はしないで済む。診断に伴う責任は重大だ。

「レアなケースですが、他院でⅡ期と診断された人が、実は0期だったということもあります。医療はエラーがあってはダメ。100点を求めて行かないといけないと思っていますが、患者さんも、自分の病気に主体的に向き合うことが大切です」

 思い違いしている人が多いが「セカンドオピニオン=転院して別の医師のもとで治療を受ける」ことではない。基本は、現在の主治医のもとで治療を受けることを前提に、相談先の医師に検査データや画像データなどの診療情報を渡し、第三者として診断や治療についての意見をもらうだけで、診察・検査・治療は行わない。公的医療保険制度が適用されない自由診療扱いなので、全額自己負担。費用は、1万円台~5万円ぐらいが相場だ。

心得ておきたい
セカンドオピニオンの医療機関・医師選び

 また、セカンドオピニオンを受ける医療機関や医師を選ぶ際には、以下のことに気を付けたい。

●経営面や出身大学などでつながりがある病院は避ける。似通った診断になりがち。

●治療の引き出しが多い病院、医師を選ぶ。選択肢は多い方がいい。

●自身の病気の状況を把握し、特化した専門医を尋ねてみる。同じ臓器のがんでも種類はさまざま。

●薬物療法についての相談は「腫瘍内科医」へ。外科医などが兼ねている場合が多いが、高度な治療は難しい。

 診断に疑問がある、手術を受けるべきかどうか迷っている、治療について他の選択肢を知りたいなどなど、セカンドオピニオンを受ける目的によっても相談先は変わる。

「目的をよく整理してから決めることが大切です」と西村氏はアドバイスする。

(取材・文/医療ジャーナリスト 木原洋美)