役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング#6Photo:Photolibrary

警察は、国家機関である警察庁と、地方組織の各都道府県警察に分けられる。警察庁の職員は国家公務員であり、各都道府県警に属する現場の警察官は地方公務員だ。上場企業の社外取締役に就いている警察OB・OGは全61人いて、このうち警察庁出身が36人だった。特集『役所&日銀出身の社外取締役「報酬」ランキング』(全16回)の#6では、警察出身者のランキングを公開する。役員総報酬額が2000万円を超えたのは3人。首位となった警察庁長官OBの金額は計4370万円に達した。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

報酬額上位20人のうち19人が警察庁出身
OB・OG社外取の推計報酬額を一挙公開!

 鹿児島県警察が不祥事に揺れている。職務上の秘密を外部に漏らしたとして同県警の前幹部が逮捕されたが、前幹部は同県警のトップである本部長を「警察官の犯罪を隠蔽しようとした」として告発した。

 本部長が否定する中、警察庁は6月下旬から同県警に対し特別監察を開始。監察は8月上旬まで続いた――。

 ところで、ここで出てきた「警察庁」とは別に、「警視庁」という組織もある。今回、警察出身の社外取締役の全貌を見ていくが、その前に、まずは警察組織について簡単に整理しておこう。

 警察は、都道府県単位が基本である。知事所轄の公安委員会の下に警察本部があり、その下に警察署が置かれる。各道府県の警察トップが冒頭に出てきた「本部長」で、事務を統括している。

 ただし、東京都だけは別扱いで、警視庁と呼ばれる。その長は警視総監が務めている。

 こうした全国の警察を束ね、指揮監督するのが警察庁だ。警察庁は国家機関であり、各都道府県警は地方組織。警察庁の職員は国家公務員であり、各都道府県警に属する現場の警察官は地方公務員である。

 それでは本題に入ろう。今回は、警察を出身母体とする上場企業の社外取を取り上げる。上場企業の社外取に就いている警察OB・OGは全61人いて、このうち警察庁出身が36人だった。

 ダイヤモンド編集部は、警察OB・OGの社外取が受け取っている総報酬額を独自に試算。役員総報酬額が2000万円を超えたのは3人。首位となった警察庁長官OBは5社を兼務し、総報酬額は4370万円に達した。

 近年、企業コンプライアンス重視の傾向は強まるばかり。暴力団など反社会勢力から身を守るため、用心棒としてのニーズも増しているようだ。

 それでは次ページで、詳細を見ていこう。ランキングの中で、再就職先の「社名」や「兼務社数」「推計報酬額の合計」といった項目を見ていけば、社外取としての働きぶりが待遇に見合うものかどうかがチェック可能だ。

 また、警察庁長官や警察庁刑事局長、警視総監などといった「役人時代の主なポスト」は報酬額と強い関係があり、必見の内容だ。