4席分80万円のチケット代を
ATMから振り込むよう要求

「いくら振り込めばいいの?」

「1席25万円ですから、保証金20万円を差し引くと4席なので80万円ですね」

「は、80万円?そんなに高いの?」

「オリンピックですから、それなりにはしますよ。今日のお支払いが確認できないと、棄権となり次の方に権利が移ります。息子さんへのご返金も、かなり先になりますね。来年になるかも知れません。オリンピック委員会は外国にありますから、そのくらいにはなってしまいますね」

「だけど、銀行に行かなきゃ、そんなお金ないわ」

「銀行には何時ごろ行けますかね」

「1時ごろかしら?」

「では、その時間にこちらからお電話します。ATMだとすぐに着金の確認が取れるので、ATMからお振り込みいただけますか?」

「機械はよく分からないわ」

「電話で説明いたしますので、ご心配いりませんよ」

銀行に早く到着したことが
のちに明暗を分けることに

 午後1時前。はやる気持ちを我慢できず、銀行に早く到着した女性は時間をもてあましたのか、約束の時間までロビーで待つことになった。この時間が、のちに明暗を分けることになろうとは想像もしなかった。

「何かお手伝いしましょうか?受け付けをいたしますので、キャッシュカードをご用意ください」