小売店裏の大型ゴミ箱から
廃棄品を拾って時給75ドル!?

 著者ふたりはチャットを通して、その一風変わった副業の話をマローンから聞いた。マローン自身の計算では、単純なビジネスモデルひとつで1時間当たり75ドル前後を際限なく稼げるらしい。

 具体的には、1日か2日ダンプスター・ダイビングをしたら、見つけた商品をぜんぶアマゾンに出品し、ブツをアマゾンに送って保管と販売をしてもらう。本当にそれだけの楽な仕事なのだという。こちらにもっと力を入れたい気持ちにたびたび駆られはするものの、そうするには本業を愛しすぎている。

ゴミ箱あさりで15万円超の商品をゲット!「ダンプスター・ダイビング」を副業にする人の心理『この世からすべての「ムダ」が消えたなら:資源・食品・お金・時間まで浪費される世界を読み解く』(白揚社) バイロン・リース/スコット・ホフマン 著 梶山あゆみ 訳

 サイドビジネスのために割くのはわずかな時間なのに、マローンはしょっちゅう――もう一度強調するが本当に「しょっちゅう」――ゴミの中からすごい商品を発掘している。一度などは、パドルボードが欲しいと思って地元のパドルボードメーカーのダンプスターをチェックしたところ、1300ドル※の商品が捨てられていた。※編集部注:日本円で約15万6000円。2015年の為替レートを参照し1ドル120円で計算

 ダンプスター・ダイビングに対するマローンの考え方には、「右脳vs.左脳」的なせめぎ合いが見てとれる。一方では、カッコいい商品を見つけて売って、おいしい利益をあげることに脳内快楽物質がほとばしる。

 だがその一方で、その構図はどこかが間違っていると絶えず脳の別の箇所が語りかけてくる。マローンが思うに、社会には根本的な問題がある。

「貪欲とムダがいまの私たちのレベルに達した文明はことごとく滅びています。私たちの社会は崩壊しつつあるんです。かつてイースター島では、ある日目覚めたら木をぜんぶ切り倒してしまったことに気づいた。私たちもそんなことを望んでいるんでしょうか」