過ぎゆく夏の期間限定特別公開
しっとりと秋モードに浸る前に、夏の名残が感じられるイベントはいかがでしょうか。
文化財、伝統文化、伝統産業など、春の桜や秋の紅葉だけではない京都の奥深さに触れてほしいと、通常非公開の文化財が期間限定で特別公開される恒例の「京の夏の旅」は、今年で49回目。9月いっぱい開催中です。個人で見学する場合は事前予約不要なので、気ままに訪ねられるのも魅力です。
1994年に京都の17の社寺・史跡がユネスコの世界文化遺産に登録されてから30周年を迎えたことを記念し、今回のテーマは「世界遺産&京の名建築と夏の庭」。歩いてハシゴするなら、祇園~東山がおすすめ。織田信長・信忠父子の菩提を弔うため創建された大雲院では、昭和初期に建てられた大倉財閥ゆかりの「祇園閣」(国の登録有形文化財)に注目です。「京の夏の旅」PR画像の主役になっている高さ36m、3階建てのこちらの建物、どこか見覚えがありませんか?
そう、祇園祭の鉾をモチーフにしているのです。内部の天井や階段に施されたエキゾチックな装飾画や、閣上からの360°のパノラマビューもお見逃しなく。
祇園閣から北へ徒歩3分ほど、円山公園に隣接する築110余年の洋館「長楽館」は、明治時代の「たばこ王」こと実業家の村井吉兵衛が、国内外のセレブをもてなすために建てた元迎賓館。ロココ様式、アール・ヌーヴォーなど、部屋ごとにヨーロッパのさまざまな建築様式が取り入れられていて、見ごたえたっぷり。フランス料理のレストラン、アフタヌーンティーやスイーツが楽しめるカフェとして普段から利用できますが、「京の夏の旅」では、通常非公開の3階和室が特別公開されます。折上格(おりあげごう)天井にクリスタルの最高峰と称されるバカラ社のシャンデリアがきらめく優美な空間に、思わずため息がこぼれることでしょう。