大文字山午後8時、最初に点火される京都五山送り火の象徴「大文字山」 Photo:PIXTA

体温超えの40℃に迫る猛暑が連日続く京都。例年、旧盆を過ぎるころから、日に日に秋の気配が漂い始めます。今回は晩夏の夜空を照らす風物詩「京都五山送り火」をご案内します。その由緒をひもとき、京都に身を置いて、御利益も授かりましょう。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)

送り火はご先祖様へのレクイエム

 毎年8月16日の夜に行われる「京都五山送り火」。焼き物や焼き菓子のごとく「大文字焼き」と呼ばれてしまうこともありますが、正しい名称は「京都五山送り火」です。

 7月の新盆が普通の東京とは異なり、京都では 8月13~16日が「お盆」。親しみを込めて「お精霊(おしょらい)さん」と呼んでいるご先祖様を、あの世から懐かしいこの世にお迎えして、供養します。お迎えの行事については、前回ご紹介した六道珍皇寺「六道まいり」や千本ゑんま堂「お精霊迎え」などが知られています。

「京都五山送り火」は、自宅でくつろいでいただいたお精霊さんを、お盆最終日の16日夜に、再びあの世へと送る風習です。お精霊さんが無事に帰ることができるようにと願いを込め、五山に火を灯すことによって、あの世へ続く夜道を明るく照らすのです。

 五山(字形)とは、東山連峰の主峰である如意ヶ嶽(「」)、松ケ崎西山(「」)と東山(「」)、西賀茂の船山(船形)、衣笠大北山の大文字山(左大文字)、嵯峨鳥居本の曼荼羅山(鳥居形)で、妙と法は一つに数えられるので、計五つの山となります。午後8時、如意ヶ嶽の「大」に始まり、東から西へ順に火がともされていきます。