二十四節気の「処暑」が過ぎ、連日続いた今年の記録的猛暑も日ごと和らいできました。四季折々の花が咲き継ぐ京の都では、そろそろ秋の花が見られるようになります。ひと足早い秋を探しに、夏の終わりの京都にいらっしゃいませんか。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
今すぐ見られる「桔梗」の名所へ
「秋の七草」といえば、萩(はぎ)、桔梗(ききょう)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、尾花(おばな/すすきの別名)、撫子(なでしこ)を指します。『万葉集』で山上憶良が2首詠んだほど古くから親しまれてきたこの草花、最近では「ハスキーなお袋」や「お好きな服は」という覚え方もあるそうです。
涼やかな白や紫色の星の形をした桔梗の花。環境省によると、現在は絶滅危惧種に指定されているのだとか。元来、日当たりのよい山野の草地に育つ多年草で、寺院の境内など植栽されたものを見ることができます。
ちなみに、万葉の時代から和歌に詠まれてきた「朝顔」とは、夏におなじみのつる性の“朝の顔”ではなく、「桔梗」だったという説が有力なのだとか。『源氏物語』第二十帖につづられる「朝顔」も、「桔梗」のことを指していたようです。
京都の「桔梗」名所、まずは参道など境内のそこかしこに1000本以上の「桔梗」が咲き満ちる真言宗智山派総本山の智積院(東山区)です。豊臣秀吉が愛児鶴松の菩提を弔うために建立した祥雲禅寺が前身で、徳川家康により再興されました。寺紋の桔梗は、秀吉に仕え、寺の再興に尽力した加藤清正の家紋に由来するといいます。
見ごろは9月上旬ごろまでなので、急ぎましょう。境内にある茶寮の名も「桔梗」。木のぬくもりを感じる和モダンな店内で、精進料理の御膳をはじめ、季節のロールケーキやホットケーキ、あんみつ、「ききょうパフェ」といった甘味も楽しめますよ。
もう一つの「桔梗」の名所は、京都御所の東側にある廬山寺(ろざんじ・上京区)。大河ドラマ『光る君へ』の主人公である紫式部ゆかりの地として知られます。延暦寺中興の祖である元三大師良源により洛北の地に創建されましたが、度重なる火難によって天正年間(1573~93)に紫式部の邸宅があったと伝わる現在地へ移りました。
昭和の時代に造営された源氏庭では、やはり9月上旬ごろまで、紫式部を思わせる紫色の桔梗が凛と咲き誇ります。授与される御朱印には桔梗印が押され、御朱印帳にも桔梗のデザインが見られます。