資料とビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

資料の目的が明確でも、それに対する結論が書かれていない資料というのは少なくない。結論なしの資料には、単純に結論が明示されていないものと、言葉の抽象度が高すぎて何を言っているか分からないものの2つがあるという。多くの組織で生まれる「困った資料」の実例をもとに「完璧な資料」を作る極意をプロが指南する。本稿は、丸 健一『ロジカル資料作成トレーニング コンサルタントが必ず身につける定番スキル』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

結論が書かれていない資料の
症状は主に2つに集約される

 資料を書く目的が明確に意識されていても、目的に対応する結論が書かれていない資料は、残念ながら会社のあちらこちらに転がっている。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、人は結論を書くのを嫌がる。責任を取りたくなかったり、自分の結論に自信がなかったりすることで、誰かが自分の代わりに物事を決めてくれないかなぁ、察してくれないかなぁ、と結論から逃げていく。

 結論なしの資料の症状は主に2つに集約される。(1)至極単純に結論が明示されていない資料と、(2)結論に書かれている言葉の抽象度が高すぎて、実は何を言っているか分からない資料だ。

 まずは、1つ目の、結論が明示されていない資料から見てみよう。例えば、2つのオプションから1つに選びたいという目的があるときに、図表2-4のような資料を目にすることがある。

図表2-4同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:YES

 この資料には、「A・Bどちらのオプションを選ぶべきか?」という目的が書かれており、資料を通じて決断したいことが明確で、A・Bどちらを選ぶかが分かればいいはずだ。

診断項目(2)結論が書かれているか?:NO

 では、結論は分かるであろうか?残念ながら、よく分からない。メリットとデメリットが箇条書きで並んでいるが、結局、どちらがお勧めなのだろうか?コストの面だけを見たらオプションAの方が安いように見えるが、安くても今回の目的にそぐわないのであれば、オプションBを採用する必要があるであろう。使い勝手が良さそうなオプションBは、お金を払ってでも選ぶべきだろうか?それも判断ができない。