この結論に意味があるとすると、流行りのキーワードで相手を惹きつけたい場合であろう。あえて、そうした抽象的な言葉を残しつつ、資料を書くコツも後段で紹介する。

診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO

 縦横軸の設定がなく各項目に何が書かれているのかが曖昧だ。上部には、3つほど施策が羅列されており、それら全てを指してDXイノベーションと言いたいのかも分からない。

 目的とそれに対する結論が明確になった次に気になるのは、「それは本当?」ということだ。結論に辿り着く根拠が明らかでないと、なかなか人を説得できない。結論に辿り着いた論点を整理軸で提示することが大事だが、なかなかそれは難しい。

 根拠が曖昧な資料には大きく2種類ある。1つ目は、整理軸はあるが軸に不足がある場合。2つ目は整理軸がなく情報が羅列されている場合だ。

根拠の整理軸が
不足している資料

 ちゃんとした資料に見えるが、よくよく見るとなんで結論に辿り着いたのかがよく分からないのがこの手の資料だ。図表2-6の資料を見ていただきたい。

図表2-6同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:YES

 来年度、コールセンターAで受けられる問い合わせの件数の上限を決めたいことが分かる。

診断項目(2)結論が書かれているか?:YES

 過去の件数を踏まえて、10万件が上限であることも分かる。