この資料に抜けているのは、「どちらのオプションの方がいいのか?その理由は?」という結論だが、書いた本人が、考えて結論を出すのを放棄してしまっている。

診断項目(3)根拠が書かれているか?:NO

 一見メリット・デメリットの情報があるが、こちらも箇条書きの資料同様、結論が定まっていないのだから、結論に辿り着くための根拠が書かれているかが分からない。

結論に書かれている言葉の
抽象度が高すぎる資料

 2つ目が、結論に書かれている言葉の抽象度が高すぎて、実は何を言っているか分からない資料だ。例えば、会社の新たな投資方針を示すための資料(図表2-5)を見てみよう。

図表2-5同書より転載 拡大画像表示

診断項目(1)目的が書かれているか?:YES

 自社が来年度どこに投資をするかを示す資料になっているはずだ。

診断項目(2)結論が書かれているか?:NO

 結論に相当するものは書いてあるが、意味がよく分からない。「DXイノベーション」とは具体的に何を指すのであろうか?耳なじみはとてもいいが、果たしてこの会社は具体的に何に投資をするのだろうか?

 DXのような流行り言葉はとても多い。ユビキタス、IoT、メタバース、バーチャルリアリティなど、似たようなコンセプトが、似たような文脈で語られて、一体具体的に会社の投資活動や、組織のオペレーションがどう変わるのか、具体的にはよく分からないことは多い。