「○○が見えた!」
余計すぎる一言を放った男性客
大規模な展示会になると、クライアント企業のSNSアカウントにコンパニオンたちの写真が載ります。これはクライアントの意向なので問題ないのですが、4人のコンパニオンでポーズをとって撮影した時、SNSのコメントで私を指して「この子の胸がいちばん大きいね」というコメントをもらいました。その時は、コンパニオンが性的なまなざしで見られることに慣れていたので何も思いませんでしたが、引退後「あれはセクハラだったな」と振り返るようになりました。
また困ったことに、クライアント企業の男性の中にも、誰が好みか「順位付け」したがる人がいました。事前に何も聞いていなかったのに、「10分後にこのブースにいるコンパニオンは並んで。総選挙をするから」と指示を受けた経験もあります。
彼らは自社の女子社員に同じことをするでしょうか。コンパニオンは企業や商品の認知度アップのお手伝いをする「仕事仲間」のはずが、なぜか「セクハラをしても良い相手」と見なされていたように思います。そして当時の私たちに、被害を訴える方法はありませんでした。
そんな厳しい環境の中で、私たちが特に「セクハラの温床」だと感じていたのは、とある業界での商品PRのお仕事でした。
その業界とは「タバコ」です。タバコメーカーの商品PRのため、居酒屋・クラブ・夏フェスなどのタバコブースで働き、新しい商品や銘柄を紹介するコンパニオンを見たことのある人も多いでしょう。
一般企業の展示会では来場者を「お客様」と呼んでいる私たちも、音楽イベントなどのタバコブースを訪れた人たちには、あえて「お姉さん」「お兄さん」と気さくに声をかけるようにしていました。今思えば、客とコンパニオンの距離感が近かったことも、セクハラに影響していたのでしょう。
私はクラブでタバコの案内をしていた時、男性客に胸をのぞかれて「(乳首が)見えた」と言われたことがあります。その時は頭が真っ白になりました。ですが、ここでも関係者は味方になってくれず、私たちを守ってくれるはずのディレクター(※)は「見て見ぬふり」をしていました。
※広告代理店やクライアントから依頼され、イベントの運営やディレクションなどを行う運営会社の担当者