とはいえ、その後も経験を重ねる中で、私は事務所から信頼を得て、展示会や学会の案件だけでも十分な収入を得られるようになりました。そしていつしか、タバコ関連の仕事依頼が来ても断るようになりました。

 さらに月日は流れ、コンパニオンを引退して数か月経ったある日。私は友人たちと居酒屋にいました。すると「お姉さんたち、タバコを吸いますか?」と、可愛い衣装とキラキラした雰囲気を身にまとった二人の女性がテーブルに来ました。コンパニオンです。

現役コンパニオンを見て
思い出した苦労の日々

 友人にひとり喫煙者がいたので、コンパニオンたちはサンプル品を手渡しました。友人がそれを吸っている間、2人はさりげなく、そして正確にタバコの説明をしました。彼女たちは背負っているはずの苦労を見せず、その後も明るい笑顔でテーブルを回っていました。

「私も、周囲のお客さんからこう見えていたのかな」。

 居酒屋から家に戻った私は、煙草を吸ったこともないのに、受動喫煙が当たり前の仕事場で笑顔を振りまき、疲れ果てて眠った日々を思い出しました。

 非喫煙者や未成年の方がコンパニオンを見かけたら、「自分には関係ない」と邪険にあしらうのではなく、あたたかく接してくれることを願っています。