さて、そんな厳しいタバコの案件ですが、実は一般的な展示会よりもギャラが高額です。通常のコンパニオンのギャラは日給1万2千円程度のところ、タバコの場合は日給1万5千円から1万8千円。ベテランは2万円になることもありました(※)。

※筆者が活動していた時期と地域(新型コロナウイルス禍の前であり、東京都内の案件)の水準。時期や地域によっては大きく異なる場合があります。

 その上、回数を重ねて慣れてくると、研修で台本の台詞を覚えるのも早くなります。現場で重宝され、常に仕事が途切れなくなります。一般的な展示会の少ない夏に、音楽フェスのタバコブースなどで仕事をすることもできます。

マネージャーの力量によって
案件の当たりはずれも変わる

 そうした中で、コンパニオンを守ってくれる関係者と信頼関係を構築することもできました。例えば、ある首都圏の夏フェスでは休憩時間が非常に少なく、炎天下で体調の悪くなるコンパニオンが私を含めて多数いました。

 そのことを知った某事務所(※)の女性マネージャーは、夏フェスの運営企業に電話をかけ、今後仕事を貰えなくなるのを承知の上で「うちの子に何してるのよ」と休憩時間の少なさや熱中症リスクを指摘してくれたのです。

※コンパニオンはナレーター・コンパニオン事務所や、芸能事務所のコンパニオン部門に所属しています。詳しくはこちらから『元コンパニオンが暴露する「稼げない美女」の特徴…過酷労働・給料・年齢サバ読みの実態とは?

 彼女は私たちに謝罪をし、帰りのタクシー代まで支給してくれました。さらに「コンパニオン全員のギャラを上げて。そうしないと、二度とあなたの依頼は受けない」と、運営側に改めて抗議してくれたそうです。

 結果、先方からのギャラが4000円上がっただけではなく、事務所からも追加のギャラが3000円出て、日当がトータルで7000円アップしました。

 トラブル発生時は、どの事務所の誰が担当しているのかによって対応が変わります。

 良心的な女性マネージャーとは異なり、私たちのクレームを運営側に伝えない人もいれば、「もっとコンパニオンを頑張らせてください」と運営側の顔色をうかがう人もいました。私がやむを得ない事情で仕事中に怪我を負った際に、「他のコンパニオンにとっては、あなただけラクをしてるように見えるから仕事しよう」と声を掛けてくる人もいました。

 そこで当時の私は、所属事務所から「案件出演者募集」のメールが来ると、担当マネージャーが誰なのかを必ず確認していました。