展示会や新製品発表会などで笑顔を絶やさず、来場者に説明やノベルティの配布を行うイベントコンパニオン(以下:コンパニオン) 。一見すると華やかな世界だが、その裏には厳しい現実がある。全ての催しには書類選考やオーディションがあり、通過した人しか参加できないのだ。実年齢より若く見せることで合格しやすくなる「コンパニオンは28歳で時が止まる説」もささやかれている。そんな世界を経験してきた元コンパニオンが、現役時代の裏話を特別にお届けする。(ライター 若林理央)
コンパニオンは決して
ラクな仕事ではない!
ジャパンモビリティショー(旧・東京モーターショー)や東京ゲームショウ。大規模な展示会の企業ブースにいるコンパニオンは、華やかな衣装に身を包んで、企業の顔として来場者を出迎えます。過去に私自身も元コンパニオンとして活動していて、どちらの展示会にも出ました。
当時は周囲から「ラクしてお金もらえていいよね」とうらやましがられましたが、私自身はむしろ、コンパニオンは真面目な人しかできない職業だと考えています。
まず、コンパニオンがどのようにして仕事をもらっているのかを説明します。世の中、特に首都である東京には、たくさんのイベントがあふれています。
展示会に出展したりイベントを主催したりする企業は、自社の顔となるコンパニオンを採用してブースで起用し、来場者への説明や名刺交換などで企業や新商品のPRをしてもらい、収益アップにつなげたいと考えています。そこからコンパニオンの需要は発生します。
コンパニオンはナレーター・コンパニオン事務所や、芸能事務所のコンパニオン部門に所属しています。本業のない日にコンパニオンの仕事をしているモデルやレースクイーンもいます。比較的高給な仕事で生計を立てたい人、芸能界デビューを目指している人、女子大学生、コンパニオンをしながら研修を受けてナレーターを目指している人など、経歴や働く理由はさまざまです。
イベントの数が圧倒的に多い東京のコンパニオンは、芸能事務所所属の人を除くと、複数のコンパニオン事務所に所属している人がほとんどでした。仕事を増やしたいからです。
仕事の依頼が来ると、各事務所はその案件を担当するマネージャーを決めて、彼らが複数のコンパニオンにメールで案内をします。コンパニオンは内容を見て、入りたい仕事があればエントリーするのです。
しかし、好きな時に希望する仕事ができるコンパニオンはよほど運の良い人だけ。エントリーをした後、書類選考やオーディションを経て、採用された人だけがその案件に入れるのです。