「AI機能を古い機種のiPhoneで使ってイライラ…」
これがアップルの「考え抜かれた戦略」だった!

 ところが、現実はそれほどやさしくはありません。

 アップル・インテリジェンスのようなAI機能を動かすためにはハードウェアにこれまで以上の負荷がかかります。そのためユーザーが新しい機能を古い機種のiPhoneで使おうとすればするほど、イライラすることになります。

 これまではiPhoneではiOSをアップデートするとソフトウェア性能は上がるだけで、使いにくくなるとか遅くなるといったことはありませんでした。せいぜい「とても古いハードウェアだともうiOSが最新にアップグレードできない」といったことぐらいしか困らなかったのです。その前提がおそらく変わります。

 これはパソコンを思い浮かべるとイメージしやすいと思います。

 以前、私はWindows7のパソコンを使っていました。それが無償でWindows10にアップグレードされることになったのですが、そうしたらパソコンがどうしようもなく遅くなって、結局、新しいパソコンに買い替えることになりました。それと同じことがこの先、iPhoneにも起きそうです。

 そしてこのことがアップルの業績にプラスに働きます。

 実はアップルはこの2四半期、世界シェアを連続して落としていてサムスンに首位を奪われています。背景には新しいiPhoneを買わなくても、今のiPhoneで十分だと、既存のユーザーが考えているという事情があります。

 しかしAIは計算能力と同時に、電力もかなり使います。これから使い始めてみないとはっきりとはわかりませんが、古いiPhoneで便利なAI機能を使う人が増えると、一日の途中でバッテリーがなくなってしまうケースも増えるかもしれません。

 そこでiPhone 16です。

 ティム・クックCEOは、「次世代iPhoneはアップル・インテリジェンスのためにゼロから設計された」と明言しています。実際、アップル・インテリジェンスの発表についてはサプライズがなかった一方で、iPhoneのハードウェアについてはかなりの進化をしています。

 iPhone16に搭載された最新のA18チップは処理能力が非常に高い一方で、消費電力が小さい特徴があります。要するにアップル・インテリジェンスを楽しみたいと思ったら最新機種に買い替えるのが早道です。