頭を空っぽにしてばかりではいけない!
自分で「目利き」する力を身に付けよう

 例えば、米国の富裕層の8割は1日に30分以上本を読むというデータがあります。

 また、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏が、社内でパワーポイントの使用を禁止したのは有名な話です。見かけの映像やデザインでごまかせないため、明快な文章によってプレゼンすることを求められるようになります。すると、難しいことを簡単に分かりやすく説明したり、考えを言語化したりする能力が養われるのです。

 話を戻しましょう。つまり、賢く生きるためには、正しい情報を自ら取り入れようとすること、そして常に考え続ける癖が必要なのです。考えなくていい習慣が付いてしまうと、人は考えられなくなっていきます。今の時代、頭を空っぽにして楽しめるコンテンツも身の回りにあふれています。そうしたコンテンツに囲まれていると、その快楽から抜け出せなくなっていきます。だからこそ、“自分で賢くなれる”環境を選んでいくことが大切なのです。

 モラルのない行動によって規制が増えることは、モラルがある人にとっては迷惑な話です。余計な制限が生まれることになりますから。だます人がいるから、いちいち手間のかかる検査をしなければいけなくなりますし、うそのレビューを投稿する人がいるから、自分で目利きしなければならなくなるのです。

 最近では、生成AI(人工知能)を使用したフェイクニュースが出てくるなど、テクノロジーの進化に伴って、詐欺の手口も高度化しています。新しいテクノロジーによって世の中が便利になる一方で、それを悪用する人も出てくる。情報の取得に困らない世の中になれば、その情報を使って人をだます悪人が出てくる。残念なことに、このいたちごっこはなくなりません。

 モラルを失わないためには、ちゃんと自分の頭を使って考える習慣を持つことです。そして、目利きができるようになること。他人に対してはもちろん、自分自身がどう行動するべきかという感覚を鈍らせてしまってはならないのです。