日本だけの言葉
「ビートパンク」とは?

 ビートパンクとは、もちろん和製英語ですらない、カタカナ語だ(なぜならばBeat Punk と書いてみても、英語としては一切なんの意味も成さないからだ)。この語の出どころというと、「めんたいロック」と総称された、ルースターズ、ザ・モッズ、ザ・ロッカーズ、シーナ&ザ・ロケッツなど福岡をベースとしていた「ビート・バンド」の存在からの転用だと見なされている。

 しかしこっちの場合のビートとは、ほぼマージー・ビート期のBritish Beat Bands と同じ使いかただから、なにも間違ってはいないのだが……しかし「ビートパンク」ともなると、なにを言っているのかまったくわからない。ただ「言わんとしていること」を汲み取ることは、できなくもない。

 ブルーハーツの「ヒット曲」に特有のスタイルをある種の「ジャンル」とみなした言葉が「ビートパンク」で、具体的には、以下の要素を兼ね備えた「わかりやすい」ポップ・パンクを指す。(1)ジ・アンダートーンズやバズコックスが得意としたような、キャッチーなポップ・パンク・ソングを、おもにミディアム・テンポで展開した上に、(2)くっきりと聞き取りやすく「まるで童謡のように平易な日本語の歌詞」が乗る――というのが、それだ。