斎藤知事が就任する前、兵庫県は19年7月から21年6月という約2年の間に退職した本庁課長・室長級以上の職員で再就職した91人のうち外郭団体に44人が採用されていたことを発表した。つまり、幹部職員の5割は外郭団体に天下っているのだ。

 これを受けて、21年7月に当選した斎藤知事は同年11月に天下りの温床となっている「外郭団体の見直し」を神戸新聞のインタビューで表明した。そこから「県民のために天下り権力と戦ってきた」という話だが、実際のところその成果はどうなのか。

 兵庫県退職者人材センターによれば、22年7月から24年6月の同じく約2年に退職した本庁課長・室長級以上の職員で、再就職した85人のうち「密接団体」に再就職したのは40人。密接団体とは兵庫県のホームページによれば、「県からの財政的支援又は人的支援の関与を通じて県行政と様々なつながりをもつ公社等」だという。要は、外郭団体のことである。

 つまり、斎藤知事になってからも幹部職員の47%は外郭団体に天下っている。ストレートに言ってしまうと、「天下りを厳しく規制をした」というほどのことはしていないのである。

 もちろん、だからといって、斎藤知事が「天下り権力と戦っていない」などと言うつもりはない。例えば、斎藤知事の就任後の21年12月、兵庫県は外郭団体の役員などに就いている65歳以上の県職員OB56人に対し、本年度末までの退職を求めている。