社員のメンタルヘルスが深刻な問題となる中、真剣に考えなくてはならないのは、1時間も2時間もかけて、対面のミーティングを行うのが本当に生産的なのか、という点です。上司と部下間の1対1のミーティングなら、15分のミーティングのほうが生産性が上がる場合もありますし、実際、そのような調査結果もあります。

 これから日本企業にも、より多くの外国籍の社員が入社してくるでしょうし、それに伴い欧米のスタートアップ企業のような文化も広がってくるでしょう。このような流れの中で、企業にとって大切になってくるのは、社員により大きな裁量権を与え、より柔軟な働き方を提示することです。日本でも世界でも、若手の社員はより自由な働き方を望んでいます。優秀な人であれば、なおさらそうです。なぜなら、そのほうが創造力を発揮できるし、生産性も上がるからです。

 とはいうものの、米国では逆に働き方が「自由すぎる」点が問題になっているのも事実です。今、米国企業の多くの社員は、“気が向いたときに”自由に出社します。ところがそれでは、対面コミュニケーションから得られるメリットを享受できません。

「廊下や休憩室でばったり他の部門の人と会って雑談して、こんなアイデアが生まれた」とか、「同僚がこういう工夫をして、効率的に仕事をしているのを偶然見かけた」といったセレンディピティ(幸運な偶然)に遭遇する機会がなくなってしまうからです。

 今、日本企業にとって大切なのは、極端な出社至上主義、極端な出社自由主義に偏ることなく、自社にとってベストなバランスを探すことではないでしょうか。