FRB(米連邦準備制度理事会)が0.5%の利下げを行った。足元の円高傾向は続くとみられるが、不透明なのが「もしトラ」シナリオ。為替動向は読みづらく、乱高下相場となりそうだ。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の最終回では、今後の為替動向についてプロの読みを解説する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
米国の大幅利下げで為替展望は?
もしトラなら相場は乱高下へ
事前の予想を上回る水準の利下げに、市場では“サプライズ”と広く受け止められた。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月17~18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を5.25~5.5%から4.75~5.0%へと、0.5%の利下げを行うことを決定した。新型コロナウイルスの感染拡大以来、米国での利下げは4年半ぶりのことだ。
事前に0.5%の利下げを予測する声もあったものの、多くのエコノミストが0.25%を予測していたことから、利下げ幅はその予想を超える水準となった。
FRBのパウエル議長は、0.5%の利下げについて、雇用など経済状況が深刻に悪化しているわけではないものの、あえて「後手に回らない」という強い意思表示をするために大幅利下げを行ったと説明。一方で、「これが新しい利下げペースと考えるべきではない」ともけん制し、利下げを急がないことも強調した。
FRBの会合後、為替は荒い値動きを見せた。予測を上回る大幅な利下げによりドル売りが進んだことで、一時1ドル=140円台半ばと1.5円ほど円高ドル安が進んだ。しかし、その後は今後の大幅な利下げにはむしろ慎重な姿勢を示したと受け止められ、1ドル=142円台に戻した。
いずれにしても、米国がついに利下げ局面に転じたことで、2024~25年にかけては、日米金利差が縮小することから、円高ドル安方向へ為替がシフトする圧力が続きそうだ。
次ページでは、為替のプロによる、今後のドル円相場の見通しを解説する。一時の1ドル=160円台まで戻る見込みはあるのか、来年の為替は幾らになりそうなのか、「もしトラ」の場合のリスクは何かなどについて詳説していこう。