「兄の病気が治ったときに、病院から追い出されたらどうしよう、うちに連れて帰るしかないのかしらって、思ってたの。リビングに簡易ベッドでも置くしかないのかなって途方に暮れていて、ケアマネさんに相談したら、遠藤さんを紹介されたの」

 こんなこと、とても1人ではできないーー。そう思っていたちょうどそのとき、遠藤が現れ、救われたと思った。生前から死後のあれこれまですべて引き受けてくれる人がいる。それなら、すぐにお願いしようと思った。

 遠藤は、介護施設の手配から、部屋の片づけ、葬儀の手配までその面倒の一切合切を引き受けることができる。いわば、遠藤は、介護施設と家族との橋渡し役になっている。

「遠藤さんと出会う前は、兄の部屋の布団を介護施設に宅急便で送って処分したりしてたんですけど、部屋からコンビニまで持っていくのも重くて、本当に大変でした。途中で嫌になってきたんです。

 遠藤さんがいれば、私が行かなくても業者さんの手配から何から全部、事が進む。私は片づけが終わったら不動産屋を連れて行って、ありがとうございました、で済む。それを私がやっていたら、今ごろ倒れてましたね」

「介護する側が早く亡くなるという話もあるくらいです」

「そう、友人のご主人の両親が介護施設に入ってからも、何度も夜中に電話がかかってきて、すごく大変という話はこれまで聞いていたんですよ。毎回、タクシーで行かなきゃいけなかったというのを聞いて、これは介護を巡って殺し合いが起こってもおかしくないと思っていたんです。

 でも、それが全部私の所には遠藤さんからワンクッション置いてから来るので、本当に楽です」