良子は、兄の散骨の手配をしてもらい、ホッと胸を撫でおろした様子だった。親族なのに冷たいと思われるかもしれないが、良子のようなパターンは、もはや遠藤にとっては、ありふれた光景だ。
孤立者がいるからこそ成り立つ
「後始末」ビジネスは健全なのか
「確かに介護施設とのやり取りなどは、本来ならば、家族がやることなんです。だけど、介護施設からあんなに頻繁に連絡がきたら、気持ちがやられてしまう。
だからお金をもらって、同意を得て、代行しています。私たちはお客様にとって面倒くさいことを全部やる。お金は出す、ただ、面倒はみたくない。だから私たちのところにくるんです。裕福だけど、孤立している親族には関わりたくないという人が本当に増えています」
孤独死は、孤立者の最終地点だが、問題はその前から発生していると遠藤は言う。
孤立している人が、認知症になったり病気を患ったりすると、親族がそれを引き受けることになる。
「でも、きょうだいと何年も疎遠だったり、本人のDVや借金で離婚問題が起こってそれっきりになり、もう関わりたくないという方が多いですね。私たちが思っている以上に、親子の軋轢が修復不可能で根深いことがあるんです。
それでも親族というだけで、介護の役割を押しつけられてしまう。私たちは民生委員やケアマネにも関われない部分のクッションになっている感じです」