それは入学前のリサーチだけで防げるものではありませんから仕方がないと思います。

 でも、昔と違って今は通信制の高校も充実していますから、親としては選択肢が増えています。仮に進学先が合わなくても、別の学校で自分のペースを取り戻すことができれば、大学では生き生きと過ごすことができる子もいます。

──必要以上に未来をあれこれと考え過ぎないことも大事ですよね。

 ある中堅校で不登校になった子が単位不足で進級できなかったケースがありました。そうしたら、不登校になった生徒のために、校長先生が自ら通信制の高校を探したそうです。その生徒は、結局、明治大学に入りました。その子が退学するときに、校長先生が「私学だから生徒の一生の面倒をみる覚悟がある。君はいつでもここに帰ってきていいんだよ」っておっしゃったそうで、お母さんが「やっぱり、この学校を選んでよかった」と泣いていたのが印象的でした。

 高校は単位制だから出席実績がないと上がれないですからね。でも、名門校の先生方で中3から高校に上げられないっていうことに対して、別の学校を一生懸命探してあげるという話は聞きますね。

──学校にもよりますけど、偏差値に関わらず、いろんなリターンがあるのが中高一貫校の良さですよね。次回は「男女別学の是非」を教えていただきます。

広野雅明さん
SAPIX教育事業本部本部長。SAPIX草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。