2011年のワールドカップで優勝したなでしこジャパンPhoto:ullstein bild/gettyimages

高い「目標」は設定していても、「何のために」という「目的」がはっきりしていないと、目標を達成しようとする使命感、やる気、モチベーションが上がりにくいという。2023年夏、107年ぶりに慶應義塾高校野球部を甲子園優勝に導いたメンタルコーチが、なでしこジャパンが2011年女子W杯で初優勝の快挙を成し遂げた要因を分析する。本稿は、吉岡眞司『強いチームはなぜ「明るい」のか』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

成功した人たちには
「ある共通点」があった

 スポーツ、試験、仕事にかぎらず、成功する人には「ある共通点」があります。

 それは、成功すると信じ続けていること。

「私は絶対に成功できる」と強く信じ続けた人だけが、成功を手にすることができるのです。

 偉人と言われる人の評伝を読むと、必ずと言っていいほど、成功するまでの過程において「そんなの無理に決まっている」「常軌を逸している」「成功するはずがない」など、周りの嘲笑や非難を受けています。そのような周囲の声があっても、当の本人だけは自らの信念を曲げることなく「絶対に成功する」と信じ続けている。だからこそ、世間の常識を超えて、歴史に残る発見や、それまでの記録を塗り替えるといった偉業を成し遂げられたのです。

 塾高の選手たちも「KEIO日本一!」という目標を掲げていました。有望な選手をスカウトした強豪校がひしめく中での日本一という目標は、“常識”で考えれば高すぎるハードルです。