能登半島地震の避難者はなぜ減らない?地震大国ニッポンの復興を遅らせる「最悪の逃げ口実」とは震災後半年を経ても進まない、避難生活の解消。政府の対応はどうなっているのか Photo:JIJI

能登半島地震の避難者数はいまだに2000人超
「地震大国」日本の信じられない現状

「地震大国」と呼ばれるほど、多くの大規模地震を経験した日本の “実力”は、こんなものなのか――。

 発生から半年が経過した能登半島地震において、石川県内の避難者数が7月1日時点でなんといまだに2086人もいらっしゃるというのだ。

 しかも、NHKの調べでは1198人はホテルや旅館などの宿泊施設にいるそうだが、888人は「1次避難所」と呼ばれる体育館や公民館に身を寄せている。

 ご存じの方も多いだろうが、先進国の中では、被災者がこのような形で半年も紛争地の難民のような生活を強いられる状況は、かなり珍しい。そもそも、日本では定番の「体育館で雑魚寝」というスタイルも、欧米の災害支援関係者から「クレイジー」と指摘されており、近年では災害ではなく避難生活で体調を崩して亡くなってしまう「災害関連死」の原因のひとつとされている。

 大阪万博だ、バレーボールの五輪出場だ、大谷選手のホームランが量産体制に入っただとか、我々がお祭り気分で浮かれていた間に、そんなクレイジーな避難生活を強いられている被災者が無数にいるという事実に、ショックを受ける人も多いはずだ。

 では、なぜこんなことになってしまったのかというと、マスコミに登場をする専門家によれば「地理的要因と人手不足」だという。

 石川県によれば、県内で着工した仮設住宅6642戸のうち5006戸(75%)が完成しているが、半年でのこの整備状況は東日本大震災時の福島県よりも低いという。これは、能登半島という奥まった土地のせいで、被災地に入れる業者が少なく、また平地が少ないので住宅整備用の土地の確保に難航しているからだという。それに加えて、円安による建築資材の高騰や、建設業の人手不足によって、計画が思うように進まないからだというのだ。

 そう聞くと、「じゃあ、しょうがないよね。現場の人たちも一生懸命頑張ってくれているんだから、まだ避難所生活をしている人は気の毒だけど、順番で回ってくるものだから、もう少し辛抱してもらえれば……」と感じる人もいるかもしれない。

 ただ、個人的にはそうやって何かあるたびに「できない理由」をたくさん並べて「しょうがない」という方向へもっていくムードこそが、日本の震災復興をここまで遅くさせた「元凶」だと思っている。