加えて、利上げが不動産価格に与える影響は一様ではありません。金利が上がったとしても不動産価格が下がるとは限らず、むしろ投資先としての魅力を増すこともあり得ます。特にインフレ傾向が続く中で、不動産は現金よりも価値を保つ手段として認識されており、資産としての需要は依然高いままです。

 また実需としての不動産である居住用の住宅ローンには「変動金利と固定金利をミックスした」ハイブリッド型の融資も登場してきており、特に実需の急減にはつながりづらいでしょう。

東京の不動産市場は構造的に強い
簡単には下がらない

 先述の通り、経済、文化、交通の中心地である東京には、国内外からの投資が集まりやすいという特徴があります。さらに、土地が限られているため、海外投資家のニーズも高く、供給が需要に追い付くことが難しい状況が続いています。

 このような背景から、ちまたでいわれている「不動産バブル崩壊」とは異なり、東京の不動産価格は簡単には下がらないというのが現実的な見方です。不動産価格が下がるのを待つのではなく、むしろ東京の不動産市場の特性を理解し、適切なタイミングでの投資や購入を検討することが重要なのではないでしょうか。

 そもそも不動産価格は人口要因や金利だけで決まるものではありません。その国の経済状況(景気や雇用など)、政策(税制や都市計画)、そもそもの需給、地域要因(アクセスや教育、治安など)、投資家心理(内外の投資家のマインド)などさまざまな要素の影響を受けるわけです。確かに人口や金利は大事な要因ではありますが、それだけではない、と考えるべきでしょう。

 首都直下型地震や富士山の噴火などを契機に地方創生がドラスチックに進むようなことがない限り、東京の不動産は当面盤石。ただ、2050年以降はどうなるか分からないというのが現実的な予測ではないでしょうか。