大学格差#2Photo:PIXTA

「2025年度入試では、早稲田の社会科学部に20年に1度の好機が到来する」と受験対策のプロは言う。なぜ好機なのか。誰にとって好機なのか。特集『大学格差』(全20回予定)の#2では、その解に迫る。また、難関私立大学群である「早慶上理ICU」「GMARCH」について、1982年以降43年間の偏差値の推移をまとめた。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美、ルートマップマガジン社取締役・編集長 西田浩史)

社会科学部で共通テスト必須化
受験者数が減る

「2025年度入試では、早稲田の社会科学部に20年に1度の好機が到来する」

「早慶の入試問題を愛してる」と公言し、早稲田大学の受験対策に特化した通信教育予備校「早稲田合格塾」の代表を務める比良寛朗氏は、そう確信している。

 早稲田大の社会科学部は来年年明けに実施する一般選抜で、大学入学共通テストを必須化する。共通テストだけで受験する「共通テスト利用方式」とは別に実施される大学独自の問題で選抜する個別試験において、従来の3教科型をやめ、独自試験と共通テストを組み合わせる「共通テスト併用方式」に切り替えるのだ。

 早稲田大は21年度に看板学部である政治経済学部を含む3学部で、共通テスト併用方式を導入した。共通テストを重視する姿勢はなお続き、25年度に社会科学部を含む2学部でも導入。計5学部が共通テスト必須になった。

 共通テスト利用方式は私立大に国立大学受験者を集められるが、個別試験で共通テストを必須化すると、私立文系に特化した受験生が離れやすい。言い換えれば、共通テストを受けたくない私立特化型受験生を大学側が切り捨てることになる。早稲田大は大勢から人気を集めるよりも、早稲田本命層、学力優秀層に絞り込んだ入試へとかじを切ったわけだ。

 こうした厳しい入試改革が行われた年は、必ずと言っていいほど一定の受験者離れが起きて志願者が減る。実際に3学部で共通テストを必須化した上に政治経済学部を数学必須にした21年度、早稲田大の志願者数は長年続いてきた10万人の大台を割った。

 およそ20年ぶりに行われる社会科学部の入試改革でも同様のことが起こるだろう。では、単純に志願者数が減ることが「20年に1度の好機」なのか。

 受験者の数が減ることは好機となる要因の一つではある。が、それだけではない。別の要因も重なっての好機だ。

 別の要因とは何か。そして、誰にとっての「好機」なのか。次ページで、この二つの解に迫る。

 また、難関私立大学群である「早慶上理ICU」(早稲田大、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学、国際基督教大学)「GMARCH」(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)の11大学について、43年間の偏差値の推移早見表を掲載する。