SNS、チャット、メール……現代は、史上だれも経験したことのない「言葉の洪水」に襲われている。あなたも毎日、ペーパーワークに何時間奪われているだろうか? そこで、ビジネスパーソンに「簡潔化」の作法を指南する本が誕生、世界でベストセラーとなっている。全米25万部を超えた他、世界16か国以上で刊行の話題作『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』より、内容の一部を特別公開します。

1通のメールで即バレ!「頭がいい人」と「悪い人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

なぜ、だらだら長いメールを書くのか?

 物事をスマートに、そして短く表現すること。その両方を習得すれば、思考を研ぎすまし、時間を節約し、雑音をはねのけることができる。

▶ほとんどの人は言いたいことを思い浮かべると、それを感傷的な言葉やくどくどした補足、無意味な余談で台無しにしてしまう。簡潔さが犠牲にされている。

 たとえばバーでビールを飲んでいるとき、またはコーヒーを飲みながら友だちと情報交換をしているとき、あなたはどんなふうに情報を得て、どんなふうに面白い話をしたいか考えてみよう。

▶人は新しいことや目からうろこが落ちるようなこと、胸が躍るようなことを知りたがる。また、要点をまとめ、「なぜそれが重要か?」を説明してもらいたいと願っている。そして、視覚や言葉など何らかの刺激を受けて、「さらに知る」対話を続けるかどうかを判断する。

▶だとすれば、こう自問してみよう。自分はなぜそれとは正反対の──とりとめがなく自己中心的、要領を得ず注意散漫、退屈でわずらわしい──手紙やレポート、メール、メモ、SNSの投稿を書くのか?

▶人は進化の過程で何をまちがえたのか、話すときは、しゃれた言葉をちりばめて、くどくどと自慢話ばかりするようになってしまった。ものを書くときは、堅苦しい文体でぼやけたことを複雑に書くようになってしまった。

頭のいい人は文章に「仕組み」がある

 ほとんどの人は文章を書くのが苦手で、思考があいまいだ。

▶これは誰もが感じている。いいアイデアや意見が頭に浮かんだとする。戦略の見直し、友だちを結びつける方法、大事な仕事の売り込みなど。ところがそれを文字にすると……たちまち大きな泥のかたまりのようになってしまう。他の人が同じことを話しはじめると、とても賢そうに聞こえるのに。何が問題なのだろう。

 スマート・シンプル(※著者が説く、シンプルでいて浅くならないコミュニケーション法)とは、コミュニケーションにおいて自分のとくに悪い衝動や癖を矯正する衣服だと考えよう。思考を整理して組み立て、パンチのある言葉で伝える手段だ。

▶スマート・シンプルを身につければ、言うべきことを思いつくたびにゼロから始める必要がなくなる。あなたは再現できる仕組みを手に入れ、同席者のなかでいちばん賢く、理路整然としていると見られるようになるだろう。

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(本原稿は、『Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である』からの抜粋です)