経済学には「規模の経済」の概念があります。一般には世帯規模が大きくなるほど、家賃や食費、光熱費などの単位コストが抑えられるので、一人暮らしより複数人の家族で同居するほうが「コスパがいい」、ゆえにバブル崩壊や通貨危機など、不況や不安な社会がパラサイトの追い風になるのは、当然の現象ではあります。

問題視される「格差の継承」
「親が支える」意識の落とし穴

 半面、近年は豊かな親の子が豊かに、そうでない親の子が貧しくなる「格差の継承」も問題視されています。

「親が支える」を当然とすることが、結果的に若者の格差拡大に繋がる恐れもあるのです。

 本来、規模の経済が作用するのは「親子」だけではないはずです。とくに若い段階では、親元を出てひとり立ちする方向、たとえば友人・知人とのシェアハウスや、(未来の)恋人との同棲などにベクトルを向かせる支援を、検討すべきではないでしょうか。

提言:「親が支える=当然」ではない。若者がひとり立ちできる形の支援を

 昭和の時代なら、入籍しない異性が共に暮らすことを「はしたない」とみる向きもあったでしょう。ですがいまや、同棲経験をもつ20代後半(25~29歳)の未婚者が、男性で10.9%、女性で12.9%と、1割以上存在します。

図表2:未婚者(20~29歳)の同棲経験割合(推移)同書より
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