「若者の結婚離れ」は大ウソ!未婚男女の8割超が「いずれ結婚するつもり」なのにできないワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

生涯未婚率の上昇への対策は日本における喫緊課題の一つだ。結婚することに否定的な意見が一部であるものの、8割の男女は「できたらしたい」と考えている。日本の未婚社会の実態とは。※本稿は、『パラサイト難婚社会』(朝日新書、朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

経済的観点から見ると
結婚のメリットは高くない

「未婚」と一口に言ってもその状況は様々です。「おひとりさま」になるのか、「実家同居」になるのか、または「パラサイト・シングル」になるのか「引きこもり」になるのか、十人十色の現実がそこには存在します。

 ただし、「経済的自立」と「精神的自立」という分岐が最も無視できない要因となるのは、共通して言えることでしょう。

 既婚と未婚の善し悪しを比べているのではありません。手垢がついた表現になりますが、「独身貴族」という言葉もあります。正直、現代日本で「今を豊かに生きる」ためには、「しっかり稼いで自分ひとりで消費する」のが、一番贅沢に過ごせると言えなくもないのです。

 仮に年収500万円を稼ぐ男性がいたとして、それをひとりで消費できる独身貴族生活と、「妻と子ども2人」を養い、4人家族で消費する生活とでは、当然前者の方が「経済的」には豊かに生活できます。

 住みたいエリアに住み、食べたいものを食べ、着たいものを着て、趣味も娯楽も我慢せず、なおかつ貯蓄もできるでしょう。

 でも同じ500万円で家族4人が暮らすとなれば、家族のために購入したマンションや戸建て住宅のローンを払い続け、4人分の食費と光熱費を捻出し、保険に加入し、高額化する教育費にお金をかけ続ける毎日では、自分の好きな服や趣味に回すお金はごくわずかになるでしょうし、貯蓄や投資などの余裕はほとんどないかもしれません。

 つまり、単に経済的観点から見れば、「結婚のメリット」は少しも高くないのです。そして、育った子が自分の面倒を見てくれるどころか、成人後もパラサイトされて生活の面倒を見続けるリスクと隣り合わせです。

 女性の場合はどうでしょう。仮に年収500万円を稼ぐ女性がいた場合、男性とはまた少し事情が異なってきます。相手も同程度に稼ぐ男性と結婚すれば、年収はシンプルに2倍になり、いわゆるパワーカップル家庭として「経済的」にも「結婚のメリット」はあるかもしれません。ただ、子どもを持つとなると、男性とはまた別の問題が生じてきます。