そんな先輩を見て、20代の女性たちが「いまから備えておかないと大変だ」と不安に襲われるのも当然でしょう。19年にある女性向けメディアが、読者(20~30代女性中心)に行なった調査でも、「卵子凍結に興味がある」が7割弱、「卵子凍結をしたい」が6割弱にのぼりました(「日経doors」日経BP、11月22日掲載)。

卵子凍結についての議論を
深めたい2つの理由

 現在、日本産科婦人科学会が「未婚女性」も含めて公に推奨しているのは、おもにガン患者らの不妊を防ぐための卵子凍結に限られます。22年、政府が公的助成対象とした精子・卵子の採取や凍結保存も、やはり未婚ではガン治療を控えた人たちが対象です(一部、実施主体の都道府県により異なる)。

 一方で、東京都は23年、健康な女性の卵子凍結について、助成制度を作るための調査に乗り出しました(「NHK 首都圏ナビ」2月3日掲載)。現状を鑑みると、そろそろ国や産科婦人科学会も、健康な未婚女性も視野に入れ、現実的な議論をすべきではないでしょうか。

提言:健康な未婚女性も対象に、国として現実的な卵子凍結の議論を始めよ