不妊の原因
約半数は男性にある
2022年4月、不妊治療が保険適用になった。治療開始時点で40歳未満の女性は通算6回まで、43歳未満は通算3回まで保険が適用される。これをもって従来の特定不妊治療費助成制度は終了となった。
不妊治療は「女性が行うもの」というイメージが強い。しかし、その陰で悩む男性が数多く存在することは、あまり知られていない。そんな男性不妊の実態を紹介したい。
正確な情報を知るために、まずは専門家に取材を行った。
慶應義塾大学名誉教授・産婦人科医の吉村泰典氏。第2次安倍内閣から官房参与として少子化対策支援も担当した、日本の不妊治療の第一人者である。
「ここ数年、男性不妊の患者が増えているのは確かです。WHO(世界保健機関)の調査では不妊の原因は女性が41%、男性は24%、男女両方に原因があるケースが24%となっています。つまり、不妊の約半数は、男性に何らかの原因があるのです」(吉村泰典氏、以下同)