円の関係性で考えると、市町村は市民に寄り添ったような施策をし、それを都道府県がサポートし、国家はそれらの受け皿となって、すべてを支えていくというイメージです。市民と国の関係は、上下の力関係で表されるものではありません。

住民本位の行政のためには
権限と財源の移譲が不可欠

 政治家の引退を決めたころ、「市長の次は知事ですか?」「国政に復帰ですか?」といろんな人から聞かれました。私にそう聞いてくる人たちの頭の中には「市より県が上」「市より国が上」という発想があるのでしょう。でも私にとっては市長も県知事も国会議員も総理大臣も同等の関係です。

 市長になったのは、国会議員や総理大臣になるより自分の思うように仕事ができると知っていたからです。市町村、都道府県、国の関係性に上下はなく、あるのは役割です。政治家はその役割をそれぞれの立場に応じて果たすことが仕事です。

 法的には、地方分権一括法に基づき、国と地方自治体は対等な関係にあります。地方自治法には「基礎自治体優先の原則」が示されており、住民にもっとも近い市町村が住民をしっかり支え、市町村ができないものは都道府県が、都道府県ができないものは国がサポートしていくというそれぞれの役割が記されています。