住民を支えるために必要なのは権限と財源です。財源をともなう形で権限を移譲し、結果責任は各自治体が負う。権限も財源も結果責任も国ではなく地方自治体に存在するようにする。日本の自治システムがそのような構造になって、ようやく地域の特性に合った住民のための本当の行政が可能になるのです。

子育て支援に注力する自治体に
対する国からの「嫌がらせ」

 市長をしている間、私は国に対していろんな不満を感じてきました。その中でも特筆すべきは、子育て支援に力を入れている自治体に対する国の「お仕置き」や「嫌がらせ」です。こんなくだらないことは、一刻も早く是正してほしいものです。

 たとえば、明石市は「子ども医療費の無料化」を拡充してきました。しかし、拡充を理由に国は国民健康保険の補助(国庫負担金)を減額するという制裁措置を続けています。2022年には約1800万円のペナルティが見込まれていましたが、それでも私は無料化の対象をそれまでの「中学生まで」から「高校生世代まで」に拡大しました。

「医療費の補助を拡充していくと安易な受診が増え、医療費増大を招く」というのが国の言い分ですが、本来、子ども医療費くらいは国がすべて負担すべきです(全国市長会もずっと訴え続けています)。