兄正義に相談すると、厳しい口調で叱られた。
「このままだと人生に失敗したという思いが離れなくなる。負け癖がつくぞ」
泰蔵がかろうじてすがりついていた小さなプライドは、ずたずたに切り裂かれた。が、兄に似て負けん気の強い泰蔵は、このときから必死になって受験勉強の計画を立てた。
「足し算ではなく割り算」
孫独自の計画表の作り方
泰蔵は自信を持って計画表を兄に見せた。ところが、またしても叱責された。
「何を考えとんのか、おまえは」
兄は弟に、なぜこの計画表ではいけないのかを説明した。計画は足し算ではなく、ユニークな割り算でなければならない。
まず、1年間という期間を考える。その際、1年を12ヵ月で割ってはいけない。どんな綿密な計画を立てようと、かならず計画どおりにいくとは限らない。兄は1年の365日を12ではなく14で割ることを泰蔵に教えた。
そして、本来なら1ヵ月かかることを、1年間の14分の1、すなわち26日間で終わらせろというのだ。すると1ヵ月に4~5日、1週間に1日の予備日ができる。
そこに精神的な余裕が生まれ、仕事の能率も上がる。