そこで、任意の時点での「あるべき為替レート」を示すものとして、「絶対的購買力平価」が計算される。

「絶対的購買力平価」とは、ある時点において、世界的な一物一価を実現するような為替レートのことだ。

 絶対的購買力平価としては、さまざまなものが計算されている。その1つに、イギリスの経済誌『エコノミスト』が作成する「ビッグマック指数」がある。

 これは、ビッグマックの価格が世界で均等化するような為替レートを計算し、それを現実の市場為替レートと比較するものだ。最新の結果(2024年1月公表)を見ると、つぎのとおりだ。

 日本でのビッグマックの価格は450円。アメリカでは、5.69ドル。これらを等しくする為替レートは、1ドル=79.09円。ところが、実際の市場為替レートは、147.86円。したがって、円は46.5%だけ過小評価されていることになる。

 ビッグマック指数では、ビッグマックという商品だけを取り上げて計算している。ビッグマックは、世界中どこでもほぼ同品質のものと考えられるので、その価格を比較することには意味がある。