米大統領選で経済・株・為替はこう動く! 「もしトラ」「もしハリ」損得勘定#2Photo:Bloomberg/gettyimages

「もしトラ」「もしハリ」で為替相場はどう動くのか。トランプ氏の政権復帰でインフレ率が上昇すればFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースは鈍化し、場合によっては利上げに転じる可能性がある。そうなればドル高が進むだろう。ハリス氏当選の場合は、為替相場には大きな影響を及ぼさないとみる市場関係者が多い。特集『「もしトラ」「もしハリ」損得勘定』(全11回)の#2では、6人のストラテジストの見方を紹介する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

日米金利差縮小で「ドル安円高」
メインシナリオへの大統領選の影響は?

 現時点での為替市場のメインシナリオは、日米金利差縮小(下図参照)を背景とした「ドル安円高」だ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は7月までは、雇用者数の伸びが鈍化する中でインフレ率の低下を見極め切れず、利下げに踏み切ることができなかった。日本銀行も7月の0.25%の利上げ決定前は、次の利上げは秋以降とみる向きが多かった。

 当面、金利差は縮小しないとみた投機筋が、低金利の円を売り金利の高いドルを買うことで利益を得るキャリー取引を膨らませたことが1㌦=160円超えの過度な円安をもたらした。日銀の利上げをきっかけに、このキャリー取引の巻き戻しが起きたことがその後の急速な円高進行をもたらした。

 米国の消費者物価上昇率が2%台に低下し、求人件数が800万人前後とコロナ禍前の水準にまで低下してきたように、米国の労働需給は緩和しつつある。

 FRBは、インフレ抑制から雇用維持に金融政策の軸足を移し、9月に政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートを5.25~5.5%から4.75~5.0%へと0.5%利下げした。今後もペースはともかく利下げを継続していくことは間違いない。

 足元の円高の進行によるインフレ圧力低下もあり、日銀は利上げを急ぐことはないが利下げはない。

 今後、金利差はさらに縮小するとみられ、それ故ドル安円高がメインシナリオとなっている。

 今回、大統領選挙の結果の為替市場への影響を聞くために6人のストラテジストにアンケートを実施した。

 次ページでは、今後の円の対ドルレート予想、「もしトラ」「もしハリ」それぞれの場合の為替市場への影響についての識者6人の見解をお届けする。