しかし、1つの商品だけで評価してよいのかどうかという問題がある。そこで、さまざまな商品のバスケットを想定し、その平均的な価格について世界的な一物一価が成立するような為替レートを計算することが考えられる。

OECDとIMFの計算では
購買力平価は1ドル=90円程度

 このような購買力平価が、OECDとIMFによって計算されている(これら2つの指標は、ほぼ同じものだ)。

 図表3-3に見るように、IMFの購買力平価は、1980年代の前半には、1ドル=220円程度であった。その後、円高への動きが続き、現在では1ドル=90円程度だ。

 購買力平価が円高になったのは、日本の物価上昇率が、諸外国の物価上昇率より低いからだ。日本の物価上昇率が諸外国のそれより低ければ、為替レートが円高にならない限り、一物一価を維持することができないためである。

 そして、こうしたことが生じるのは、日本が外国に比べて相対的に貧しくなっているからだ。これは、つぎのように考えると理解できるだろう。

図表:IMFの購買力平価と市場レートの比較同書より転載
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