そして12月2日に、アメリカのファイザーがバイオテクノロジー企業ビオンテック(ドイツ・マインツ)と共同開発したワクチンが、臨床試験の完了した最初の新型コロナワクチンとして、イギリスで緊急使用の承認を受けた。

 12月から、アメリカやヨーロッパなどの多くの国が、ファイザーとモデルナのmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを承認し、接種を開始した(モデルナもアメリカ企業)。また、イギリスのアストラゼネカのベクターワクチンも、イギリスなどが承認した。これによって世界の多くの人がコロナの病魔から救われた。

mRNAに関する基礎研究が
地道に進められていた

 中国が、ゼロ・コロナ政策で、国家権力によってコロナを克服しようとしたが結局は失敗したのに対して、ワクチンという科学の力によって克服したという意味でも、象徴的なことだった。

 これほどの短期間で開発することができたのには、いくつかの理由がある。先行研究が進んでいたこと、効率的な製造工程が考案されたこと、莫大な財政的支援のために複数の治験を並行して進められたこと、そして規制当局が通常より迅速に審査を行なったことなどだ。