例えば、あなたが競馬場にいたとして、まず自分がどの場所から見るかで、「視点」が決まります。スタートゲートの前の最前線に立つのか、ゴール前のクライマックス直前の第3コーナーに陣取るのかという視点です。当然、どの方向から見るかという「視点」でレースの見え方は変わります。例えばゲート前だとスタートした瞬間の一瞬の迫力は感じられますが、その後は走り去る背中を眺めるしかありません。

 次に「視野」です。これは同じスタートゲート前に立ったときに、1人は肉眼で見る。もう1人はオペラグラスで見るかの違いです。肉眼で見るほうが広くゲート全体を捉えることができます。オペラグラスの場合、焦点が狭まってしまいますが、贔屓にしている選手や馬の一挙手一投足まで見ることができます。

 最後に「視座」です。今度は視線の高さが上下する感覚です。

 例えば、競馬のジョッキーは馬とほぼ同じ目の高さにありますが、競馬場のVIP席はすべてが見渡せる高い位置に存在します。VIP席からは現場近くほど迫力は感じられないのですが、実際に馬がどの位置にいるかを俯瞰して見渡すことができます。