過去に書いた文字は
自分へのタイムマシン

 自分らしい言葉を紡ぐ、最初の一歩、それはいきなり書くことではありません。まずは、自分がこれまで紡いできた過去の文章を読むことから始めてみることです。

 それは、別に名文である必要はありません。例えば、小学生や中学生の頃の、卒業文集。またアルバムの寄せ書きに書いた言葉、書かれた言葉。昔書いた読書感想文。友達や家族とのやり取りの証。または日記帳。手帳に残したメモでもいいのです。

 すでに書かれたものたちは、自分の記憶でもあります。すると、何かしら感じるものがあることに気づきます。それは、それを見た瞬間に、書いた文字が、自分へのタイムマシンになるということです。

 小学生の頃、「宿題やんなきゃ」という気分で書いていた読書感想文でさえ、大人になって読み返せば、「ああ、あの頃、こんな本読んでいたのだな」と感じられる宝物だったりするのです。