心身の症状が軽い「要支援1・2」と介護が必要な「要介護1~5」との7段階に区分される介護保険制度。現場で介護に従事していた筆者いわく、要介護の認定結果は一部「運」次第な部分もあるのだとか。軽く判定されてしまわないために押さえておくべきポイントとは?本稿は、結城康博『介護格差』(岩波新書)の一部を抜粋・編集したものです。
要介護者の出現率は
地域で差がある!?
周知のように、介護保険制度は、心身の症状が軽い「要支援1・2」と、それらが重く介護が必要な「要介護1~5」との7段階に区分され、介護度が上がれば保険適用のサービス量が増えていく。逆に、重度の要介護者にとっては軽く判定されると、サービス量が足りなくなる。
そのため、一部の高齢者やその家族は思っていたより軽度な結果になると介護保険サービスは利用しづらいという。
例えば、心身ともに重度で要介護2程度と思っていたのに、要支援2との判定が出されて限られたサービスしか利用できないケースなどだ。
特に、要支援1・2と、要介護1~5とではサービス体系が大きく異なり、要支援1・2は「介護予防支援」といった位置づけで、利用できるサービスが限定的だ。もちろん、結果が軽度であれば、それだけ心身の状態が良好で好ましいことではある。しかし、要支援2と要介護1といった境界線の認定結果となると、介護サービス利用にかなりの影響を及ぼしてしまう。