誰にでも開かれている山や海での
体験ですら親の所得に左右される
こうした話は自然体験の分野で活動するほかの団体の方からもよく聞くものだ。都市部の世帯年収600万円以上の家庭で自然体験への年間支出額が特に大きいという今回の調査結果とも符合する。また、一口に600万円以上と言ってもその中での幅はとても大きく、より高所得の家庭ほどそうした傾向が強く出ている可能性は高いだろう。
逆に、世帯年収300万円未満の家庭が、月に10万円台から多くても20万円前後の可処分所得をやりくりし、毎週1万円近く払って子どもをキャンプに参加させるなど現実的に不可能だ。
魚釣りをやりたがっていますが、私に知識・経験がないため、また金銭的余裕もないため、させてあげられていません。(熊本県/小学1年生保護者)
自然の雪との戯れを体験させてあげたかったが、時間とお金の余裕が無かった。(兵庫県/小学1年生保護者)
山や海は基本的に誰にでも開かれている。入場料がかからない場合がほとんどだ。だが、現実的には家庭の状況の違いが、子どもたち1人ひとりがどんな「体験」をするか、小学生の間にどれほどの「体験」ができるかに大きく関係している。