都市部の比較的裕福な家庭が
自然体験に積極支出している

 自然体験への参加率ではなく、実際に支出している金額を見ると、都市部のほうが地方よりも高くなっている。旅行会社やNPOなどが提供する自然体験プログラムの価格の違い、あるいは山や海などへの距離に起因する旅費や宿泊費の違いなどが影響している可能性がある。

 世帯年収別に自然体験への年間支出額を見ると、都市部に住む年収600万円以上の家庭だけが平均1万円を超えており(1万8000円超)、ほかに比べて突出して自然体験への支出額が大きいことがわかった(グラフ13)。

グラフ13:自然体験への年間支出額(居住地域×世帯年収別)同書より転載 拡大画像表示

 子どもに自然体験の機会を与えることにどこまでの価値を感じ、そこにどこまでのお金を払うか(払えるか)には、それぞれの家庭によって大きな違いがあるだろう。

 全国各地の自然学校やアウトドア関係者が加盟する一般社団法人日本アウトドアネットワーク事務局長で「みんなのアウトドア」代表の原田順一氏は、かつて自身が関わった子ども向けのプログラムについて次のように話す。

 以前、毎週のように子ども向けキャンプを実施していたことがありますが、参加者のほとんどは都内在住の子どもたち。日帰りで8000円前後、宿泊だと一泊あたり2万円前後かかるプログラムでしたが、きょうだいで毎週のように参加する子もいて、その多くは私立の学校に通っているような、比較的裕福な家庭の子どもたちでした。