「体験」を海外に求める
高所得家庭の子どもたち

 こうした現実が広く存在する一方で、中高生向けのスタディツアーを企画・運営する団体の方からはこんなお話も聞いた。この社会にあるまた別の現実だろう。

 これ自体は悪いことではないですが、お金のある家庭が、子どもの体験や経験を「買いにきている」と感じることは多いです。東南アジアでスタディツアーを行った際、航空機代が値上がりしていることもあり、参加費が30万円と高額な設定になりました。それにもかかわらず多くの申し込みがありましたし、なかにはご兄弟ご姉妹で申し込んだ家庭もありました。

 子どもが海外も含めた色々な場所に行き、普段とは違った経験をする。そこには娯楽的な側面と教育的な側面の両方があるだろう。

 昨今、学力だけでなく、学生時代の活動や経験も重視される入試制度が広がりつつある。そんな中、保護者は、我が子にできるだけ多くの「体験」の機会を提供しようと考える。だが、それをすることができる親は、実際にはかなり限られているのだ。

近所のお祭りへの参加
そこにも所得格差が

 遠くの旅行や観光の機会に家庭の経済力の差が出やすいことは想像しやすい。では、近所のお祭りやイベントごとだとどうだろうか。