テレビの取材に対して大学生が、選挙に行かない理由を「自分の1票で変わる感じがしない」と答え、批判が集まったが、これが本音であろう。何万、何十万と票が集まる中で、自分が1票投じたことで何かが大きく変わるであろう実感は確かにないが、それでも1票の尊さや選挙を通して政治に参加することこそが大事と考えているのが選挙に行く人たちで、若者の間でマジョリティになっている「選挙に行かない人たち」とはそこに大きな意識の違いがある。

若者の選挙率が上がるために
必要な「ちょっとした一押し」

 もっとも、「選挙に行くか/行かないか」の二者択一で比べてみると、両者の間には深い断絶があるように感じられるが、人によっては実はそれがあまり大きな差ではなくて、ちょっとした一押しでひょいと越えてしまえる溝であったりする。

 総務省が18~20歳の男女を対象に、「18歳選挙権に関する意識調査」というものを行った。やや古く2016年のデータだが、選挙権が20歳から18歳に引き下げられた年である。これによると、投票に行かなかった理由として「選挙にあまり関心がなかった(19.4%)」「投票所に行くのが面倒だった(16.1%)」がある。

 最も多かったのは「今住んでいる市区町村で投票することができなかったから(21.7%)」だが、これは「親元を離れて暮らしているが住民票は移していない」などが理由で生じる事態で、「選挙のために住民票を移しておく」という行動につながっていない点で、大きく“若者の選挙の無関心”に分類することもできようか。

 こうしたデータを見てみると、投票がもうちょっとだけ簡単だったら投票する人も一定数いそうである。「行った方がいいのはわかっているものの、予定の方が大事」と考える層の人には、駅や大学、ショッピングモールなどで投票ができるようになれば、外出のついでに投票に参加するようになるかもしれない。