レバノン空爆で、子供や民間人にも犠牲者
池上 イスラエルとハマスの紛争の勃発から1年。現在も事態の収束が見えない中、イスラエルは10月1日、レバノンへの地上侵攻を開始し、さらにイランとのミサイルの応酬も断続的に行っています。
増田 イスラエルとしてはガザ地区南部のハマス掃討作戦が進み、改めて北にも目を向けたということなのでしょう。
池上 ヒズボラはレバノン国内にガザ以上の地下道を張り巡らせていますから、イスラエルからミサイルを撃つだけではヒズボラを掃討することはできない。そのためイスラエルは、空爆に加えて地上作戦を行い、ヒズボラの勢力をそごうとしているのです。
しかし、ヒズボラの戦闘員は5万人いるとされており、ロケット弾だけでも10万発持っているといわれています。9月にはヒズボラ幹部に配布された連絡用のポケベルやトランシーバーが爆発し、3000人以上の死傷者を出していますが、幹部が負傷しただけでは組織は弱体化しません。イスラエルは空爆でロケット弾を破壊していますが、まだ何万発も残っているでしょう。戦争は何年も続く可能性が十分あります。
増田 レバノンに対する空爆では、ガザと同様、子供や民間人にも犠牲者が出ています。しかしイスラエルは、自身に対する危険の芽を摘むことに前のめりになっています。敵対勢力を殲滅するために子供や民間人に被害が及ぶことに対して、イスラエルは「自衛のためであり、民間人の被害もハマスやヒズボラに責任がある」と全くちゅうちょがありません。