ガザ住民への
筆舌に尽くし難い拷問
池上 イスラエルと、パレスチナを実効支配しているイスラム組織ハマスの戦闘開始から、半年がたちました。ハマスのテロによる攻撃と人質の拘束が端緒になっているとはいえ、ガザ地区ではすでに3万3000人超がイスラエルの攻撃によって死亡。家屋の60%が倒壊し、負傷者は8万人近くに達するとみられています。
増田 半年たった今も連日、悲惨なニュースや映像が報じられています。3月16日には、東エルサレムのシュアファト難民キャンプで12歳の少年が、いきなりイスラエルの警察官に銃撃されて亡くなりました。少年がイスラム教の断食月(ラマダン)のお祝いで花火をしていただけで「治安部隊の命を脅かす暴動」と見とがめられ、殺害されたのです。
池上 報道によると、ネタニヤフ政権のイタマル・ベングビール国家治安相は警察官をいさめるどころか「花火を発射しようとしたテロリストを殺害した戦士をたたえる」と擁護したそうです。
増田 パレスチナでは断食月に花火を上げるのは習慣のようなもので、危険ではないと分かっているはずなのに。これまでにもパレスチナ、特にヨルダン川西岸地区では、イスラエル人による入植が行われていると同時に、イスラエルの警察がパレスチナ人を軽微な罪やほとんど言い掛かりに近いような容疑で逮捕し、長期的に投獄するようなことが行われてきました。
池上 もちろん、テロは許されない行為だけれど、パレスチナ人の一部がハマスを支持するのもそこに理由がある。ネタニヤフ首相が率いる極右政権は、イスラエル人の入植やパレスチナ人への暴力、弾圧を黙認、むしろ推進してきたと言っても過言ではありません。
現在もイスラエルの国内諜報機関であるシンベトがガザの一般住民に拷問を行っていると報じられています。「おまえもハマスだろう」「ハマスがどこにいるか言え」と殴る蹴るの暴行や、イスラムでは「不浄」とされてご法度になっている犬をけしかけられるなど、パレスチナ人は筆舌に尽くし難い拷問を受けているのです。